書籍の紹介
日本土壌微生物学会編 『土壌微生物実験法 第3版』(養賢堂、2013年)
今回刊行する実験法は,初心に戻るという意味を込めて,初版と同じ題名とした. これは,土壌微生物分野では,新たな手法が各分野に次々と取り入れられる一方,40年近く以前と今日とで重要性がほとんど変わらない手法もあるからである。
基本は「新編 土壌微生物実験法」の内容を踏襲する一方,DNA/RNA抽出法,DNAを用いた各種解析法,リン脂質脂肪酸やキノンプロファイルに基づく群集構造解析法,SIP法などを新たに加えた.それに伴い統計手法も新たに紹介した。
また,我が国で問題となっている主要な病原菌を紹介するだけでなく,それらの生物防除に関する研究手法も記載した.一方で,土壌環境分析法(博友社,1997)に掲載されている項目は簡略化あるいは削除した。
なお,前版までと同様,付録には培地や染色液の組成,MPN表を用意し,また,硝化菌・脱窒菌や土壌伝染性病原菌など特定微生物を検出するためのプライマー情報を掲載したので,活用されたい。
土壌微生物研究会編/日本土壌微生物学会編 『新・土の微生物』全10冊(博友社、1996~2003年)
『土と微生物』、『土の微生物』を改訂し、最新の土壌微生物像を紹介したものである。前書からの課題を引き続き取りあげるとともに、社会の土壌微生物に対する高い関心と分子生物学や微生物工学の進歩に触発された土壌微生物学の現状、が10冊のシリーズに詳しく紹介されている。
土壌微生物研究会編 『新編土壌微生物実験法』 (紀伊国屋書店、1992年)
先の『土壌微生物実験法』絶版後、「バイオテクノロジーの発展にともなう遺伝子組み換え微生物の環境中での動態、微生物の多様性、有害物質・廃棄物の微生物処理、有用物質産制遺伝子の探索、導入微生物による植物生育促進・病害虫防除」(鈴井孝仁)など、新たな土壌微生物への関心が高まった。前書を補うとともに、新たな時代の要請に対応した実験書であり、現在も土壌微生物研究のためのマニュアルとして広く利用されている。
土壌微生物研究会編 『土の微生物』 (博友社、1981年)
学会創立25周年を記念に刊行された。先の『土と微生物』当時に比べて、わが国の土壌微生物学の著しい進歩と諸外国の成果を加えて編纂された。。当時のエネルギー問題を背景とした土壌微生物による効率的物質循環、環境汚染問題、農業現場における微生物に起因する諸障害、等に関連して、社会が土壌微生物に大いなる期待を寄せるようになったことも刊行の動機になったと思われる。
土壌微生物研究会編 『土壌微生物実験法』 (養賢堂、1975年)
土壌微生物談話会が発足して20年近くが経過し、会員も600名近くに達し、社会の土壌微生物への関心も増加していた。その結果、「土壌微生物の研究においてもっとも欠けていることは日本語の土壌微生物の実験法がないことであり、このことが測定法の不統一などを招くとともに、この分野に興味を持つ研究者が土壌微生物に入りにくい状況を作り出している」(鈴木達彦)ことが懸念されていた。このような背景をもとに、「本書のみによって、土壌微生物の知識のない人でも正確に実験が出来ること、得られた実験結果の解釈を可能にすること」等、当時の土壌微生物に関する実験手法を網羅する実験書となった。
土壌微生物研究会編 『土と微生物』 (岩波書店、1966年)
土壌微生物談話会の10周年を記念して出版された。古坂澄石氏は本書の冒頭、「土壌微生物学は最近10年に至るまで日本の国に住みつきえなかった。」と振り返り、「この間の成果をもとに現時点における日本の土壌微生物学の位置付けと将来の方向性を見出すための作業の一環」として出版したと、その主旨を明らかにしている。本書の願いは、「わが国の土壌微生物学者達が何をどのように考え研究しようとしているか」、「わが国の土壌微生物学者達がこの国の土壌の特殊性を十分生かすと共に、わが国の微生物学や土壌学のよき伝統をできるだけ正しく受けつごうとしているか」を紹介することであり、さらに「わが国の土壌微生物学がより広い視野でより全面的に発展する必要のあることの強調」であった。